第11章 人生だとか愛だとか

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第11章 人生だとか愛だとか

「…どうしたの?向井さん。やっぱり、あんまり美味しくない?」 心配そうなエニシダさんの声にはっと我に返った。 今日は家政婦でもモデルでもない、つまり勤務じゃない日。仔猫たちもそれほどつきっきりで見ていなくても最近はそろそろ大丈夫。だけどまだ離乳食の時期が終わっていないので、食事の用意の仕方にちょっとコツがある。 かりかりをちょっとふやかして柔らかくする、まではわかりやすいんだけど。だんだん硬いものを噛めるように慣らしていかないといけないので、砕いたのを適量混ぜておく必要がある。しかもその比率を日ごと少しずつ変えてくとか、砕き方も成長に合わせて粗めに、とか。説明していくうちにエニシダさんが何となく自信なさげというか、不安な表情になってきたので、結局できるだけ猫たちの餌の用意の時には顔を出すようにしてる。     
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