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ダイニングテーブルの端に置きっ放しになってたスマホが振動で低い音を立ててる。マナーモードだからうるさくはないけど。わたしは慌ててそれを手にした。
あんまりここにいる時わたしの携帯に連絡が入ることってない。まあコミュ障だから、そもそも連絡を取り合う相手がほとんどいないってのが現実だけど。
そこへ持ってきてこの着信。タイミング的にどう考えてもあいつか、と思って慌てて手のひらで画面を覆うようにしてそれを引き寄せる。青山くんから、とかいうことになると。察したエニシダさんが不安定になったり変に拗ねたりしそう…。
「…う」
顔の間近まで引きつけてその画面を覗き込み思わず呻く。…やば。
軽く全身の血が引く思いで慌てて電話に出た。細かいこと考えるのはあと。とにかくまず間違いなく応答しなくちゃ。
席を立って彼に背を向けるように部屋の隅の方へと移動する。無駄と思いつつ軽く口の横を手で覆って少しでも話が聞こえないように。
「はい。わたしです。…はい。お世話になっております」
向こうもまだ口振りは冷静。激昂したりしてる様子ではないが。ああでも。
ついに直に電話、かかってきちゃったか…。
「ええと。なるべく早めにとは。…今、調整してます。はい。わかりました。…すみません。お手数かけます」
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