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「いやそりゃ、仕方ないよ。この子たちも心配だったし。てか、ほんとに大丈夫かな。別に無理しないでいいよ。そんなに遅い時間ってわけでもないし、ちゃんと明るい人通りの多い道を選んで行けば何ともないんだから」
そう言って一応固辞する。だけど今日のエニシダさんは簡単には引かない。
「平気だよ。猫も万が一に備えて留守番できるように慣らしておいた方がいいんだって。僕普段あんまり出かけないし、こういう機会でもないと」
きっぱりとそう言って軽い上着を羽織った。『あんまり出かけない』とはずいぶん控えめな物言いだな、などと内心でつい考えてるわたしをさっさと玄関の方へと促す。
「それにこいつらは四匹もいるんだもん。おかーさんもついてるし、少しくらいの時間寂しいことないよ。こっちが思うほど向こうは気にしてないんじゃないかな」
明るい部屋の中でぴょんぴょん跳ねてじゃれ合ってるミイミヤミウと、ソファの上でふっかりと身を丸めてうとうとしてるおかーさん。いつもと変わりない彼らを見てるとまあそうかな、って気になってきた。
「じゃあ。…すみません、お手数かけます」
実際送ってもらうのは久しぶりだ。
一緒に電車に乗って、夜道を並んで歩く。以前は普通にしてたことだけど、なんだか今日は二人きりな感じを強く受ける。あれ以来ずっと猫を含めた関係であることにすっかり慣れていたからかもしれない。
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