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どうにも話しづらい。ここで立ったままできちんと説明しきれることでもないし。しかしかといって、詳しい話はまた明日ね、と言えば納得して帰ってくれる雰囲気でもないか…。
わたしは観念してしょうことなしに彼を部屋の中に招き入れた。仕方ない、声が響き渡りそうなしんとした静かな廊下で滔々と弁解するのも気がひけるし。なんで今まで相談してくれなかったんですか、とばかりに腕を組んで見下ろしてるエニシダさんの表情を見ると、もう適当なごまかしが通用するとは思えない。
きちんと腹を割って話さないと。
その日、エニシダさんを迎え入れることになるなんて出てきた時は微塵も想像もしてないから部屋がすごくぴかぴかにきれいとは言いがたい。極端に散らかってもいないけど、まあ普通に生活感のある部屋だ。
「なんか、ごめんね。片付いてなくて」
エニシダさんはわたしの言葉にさっ、と一瞬だけ部屋の中を見渡してすぐに視線を戻した。多分、女の一人暮らしの室内をあまりじろじろ見るのもっていうエチケット的な感覚があるのかもしれない。
「いや、そんなこと。うちの以前の状態に較べたら全然。…やっぱり本が多いね」
わたしはペットボトルのコーヒーをグラスに注いで彼の前に置きながら弁解した。
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