1章 あの日僕らは出会った

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僕たちの待ち合わせはいつも近所の駄菓子屋だ。今日は山で虫取りに行くのだ。 友達はまだ来てないので先にアイスでも食べて待っていよう。僕はスティクのチョコアイスにした。だって当たりが出たらもう一本もらえるんだから。 アイスを食べ終わる頃 「よぉ、カズ!」 「あー、アイスいいな」 友達のタケちゃんとミズキだ。 「おばちゃん、アイスちょうだい」 「はいよ」 タケちゃんはスイカアイス、ミズキはあんずのアイスを食べている。 「どうかなー、当たりだ!おばちゃん当たりだよ」 「はいはい、もう一本どうぞ」 ベンチに座って二本目に手をつけようとした時… 「美味しそうだね、私暑くて死にそうなの」 急に女の子が僕に向かって言ってきた。 誰だろう、ここら辺の人はみんな顔見知りなんだけどな? 「私暑くて死にそうだなぁ」 「食べればいいじゃん」 なんかすごく見てくる。 「もしかしてお金持ってないの?」 彼女は頷いた。 「ねっ、いいでしょ。こんどは奢ってあげるから」 僕たちは顔を見合わせた。 次は僕の手に視線が行く。 貴重な当たりのアイス。 「しょうがないな…」 「ありがとう!」 ニコッと笑った彼女はすごく可愛かった。それにしてもこの子は誰だ?僕たちと同じくらいにも見えるし、もう少し大人っぽくも見える。 「私は美琴って言うの、おばあちゃんの家がこの辺で夏休みだから遊びに来たの」 美琴はアイスを美味しそうに食べる。 「ふーん、美琴は何歳?」 タケちゃんは食べ終わったが、ミズキはまだ食べ終わってない。夢中で食べている。 「12歳だよ、小6」 「同い年だ、年上かと思った」 「私は3人は年下かと思ったよ」 結構皮肉なことを言ってくるな美琴は。 「次はいつ来るの?アイスのお礼もしたいしさ」 「多分明日も来るよ」 美琴は良かったとニコニコと笑った。 「じゃあね、明日くるから!」 そう言い残し、白いワンピースをなびかせて走っていってしまった。 なんか忙しないと言うか、元気な子だったな…。
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