1章 あの日僕らは出会った

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森に入るとなんだかひんやりして別世界にきた感覚になる。 ゲームみたいにモンスターなんか現れたりして。 「いっぱい虫とれるの?」 美琴は虫取りしたことないってだいぶはしゃいでいる。 「大物はなかなか取れないけど、クワガタとかカブトムシ結構とれるよ。ほらこの皮と葉っぱがギザギザしてる木に多いんだよ!」 自慢げに解説するのはミズキ。 「すごいミズキくん詳しいんだね」 「ミズキは学校じゃ博士って呼ばれてるんだぜ」 「まぁね」 満更でもなさそうだ。 仕掛けた罠を見つけるとミズキは一目散に駆けやっていった。 「コクワガタだな、んーこりゃ小さいな」 「ほんとだ、可愛いね」 美琴は案外コクワガタを手に乗せて遊んでいる。虫触れるんだ、しかも可愛いって…。 「罠って何でできてるの?」 「それはね、バナナと焼酎と砂糖を混ぜるんだ。親の焼酎をちょっとばかしもらってね」 美琴にとってはこっちの当たり前が初めてなことだらけだ目を輝かせてる。 「すごい、すごいね!一度はやってみたかったの」 それから美琴とよく遊ぶようになった。川に行ったり、近所を案内してあげた。 すぐに真っ白だった美琴の肌は小麦色になっていた。 そして夏休みはあっという間に過ぎて行ってしまった。
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