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2.思い出話
なんで急にこんなこと思い出したんだろう。美琴はあれから結局遊びには来なかった。それから美琴のことも忘れていたのに。なんで来なかったのかな。彼女の連絡先なんて知らないし、確かめようもないが。
今日は久々にタケちゃんとミズキと会う約束をしている。連絡は取っているけど3人で会うのは何年ぶりだろうか。
思い出の場所あの駄菓子屋へと向かった。
二人はすでに来ていた。
「遅いぞ、カズ」
「久しぶりだね」
昔と同じベンチに座ってアイスを食べながら話すことにした。
「ほんとに懐かしいな。こんな風にアイス食べて」
大人になって、何しているのかとか盛り上がっている。昔に戻ったような感覚がある。
俺は地元で働いていて、タケちゃんも実家から通勤している。ミズキは上京して、今は研究員をしているらしい。
かっこいいな。俺なんかやりたいことなくて家業を継いだだけなのに。
そうだ、二人にも美琴のことを聞いてみようか。思い出したことを全部話した。
「そういえば、そんなこともあったな」
「あったね、懐かしい」
二人もちゃんと覚えてたんだな。
「よく、白いワンピースを、泥だらけにして帰ってったよな」
「そうそう、可愛い麦わら帽子を風で飛ばされて走り回ってたよね」
三人の思い出がパズルみたいに当てはまって、あの時の記憶が鮮明になってきた。
「俺たちさ、おじさんになったな」
「本当に、歳とったね。昔はずっと子供のままって思ってたけどね」
本当に大人になったんだな。昔みたいに季節を感じられなくなったし、遊んでばかりじゃいられない。しみじみ思い出に浸っていると。
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