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「澄彦さん。お願いがあります」
「はい、どうぞ」
「私と玉彦に長期休暇を下さい」
「賭けに勝ったらいいよ」
「賭けの内容は何ですか?」
「比和子ちゃんが決めて良いよ」
「ありがとうございます」
「うんうん」
「私が決める代わりに澄彦さんが先に賭けて良いですからね。私は残った方に賭けます」
「ほほう。面白いね」
「では賭けの内容は……」
私は辺りをぐるっと見渡す。
そして集まっていた稀人四人と玉彦を石段に座らせる。
ついでに式神の黒駒に伏せをさせる。
「さてここに正武家当主の澄彦さんがいらっしゃいます。大変心が広く、意地悪なんて絶対にしません」
「うわっ、比和子ちゃん……。もしかして」
腕組みをして余裕だった澄彦さんが俄かに慌てだした。
気が付いたってもう遅いもん。
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