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逢えて嬉しかった。
また次はいつ逢えるのかと。
冴島月子は玉彦に気持ちを真っ直ぐに伝えていた。
愛しているとさえ書いている時もあった。
旅行はどこへ行こうか。
前はあそこだったから、今度はあちらへ。
二泊三日くらいだったら、お互い都合を合わせられるかと。
……私は玉彦と旅行にさえ行ったことがない。
そして箱の中には、まだ切手も貼られていない白い封筒があった。
玉彦が冴島月子に宛てて書いたもの。
玉彦はこの人に私に囁いたように、愛していると書いているのだろうか。
封をされていないのを良いことに、私は便箋を震える指先で抓み出した。
そこには、三月には鈴白村へと帰ること。
私との結婚が決まっていること。
もう逢えなくなるのが悲しいと書いてあった。
どこにいても、忘れずに想い愛し続けるとあった。
あまりの衝撃に、私は呼吸をしていなかった。
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