6人が本棚に入れています
本棚に追加
5キロメートルほど戻ると国道から横へ伸びる雑草が生えた舗装もされていない土が剥き出しの細い道へと軽トラを入れた。
林業や農業など山で携わる人が使っている山道だ。私道なので地図には載っていない、土地の人だけが知っている道である。
柴田は慣れた様子で軽トラを走らせていく、左右から伸びた雑草がガサガサと車に当たり、土が剥き出しの道の真ん中にも雑草が生えていて車の下に当たってザワザワと音を立てる。車を大事にしている人や新車などでは絶対に通りたくない道だ。
「思ったより通れるな」
国道が土砂崩れで通行止めになるくらいだ。細い山道など通れないかと思っていたが国道などより被害は少なく思えた。
「充分間に合いそうだ」
二つ目の山を通り抜けると柴田は安堵した。前に見えている山を抜けると親戚の家のある町へと出る事が出来る。
三つ目の山へと入った。柴田はハンドルを握り直す。
「この山は水はけが悪いのかな? 」
今まで通ってきた道と違い泥のようにぬかるんでいる。
柴田はタイヤを取られないようにスピードを緩めて慎重に軽トラを走らせた。
「何だ? 」
山の中腹辺りで柴田が軽トラを止めた。
「ヤバいなぁ~~ 」
泥のような山道を大きな木が塞いでいた。
直径70センチはある大木だ。右上の斜面から左下へ山道を塞ぐように倒れている。
最初のコメントを投稿しよう!