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「切り出したのが流れてきたのかな、でもこの辺りで切ってるなんて聞いてないぞ」
気になった柴田は確認しようと軽トラックから降りた。
ぬかるんだ道を歩いて倒れている大木に近寄った。
「やっぱり丸太だ。デカいなぁ」
大木は右上の斜面の藪から左下の藪に潜っているのでどれくらいの長さがあるのかは分からないがその太さから20メートル以上あるのは経験から推測できた。
木の種類を確認しようと柴田が手を伸ばしたとき雨が降ってきた。
「また降ってきやがった」
どんな様子だと空を見上げた柴田の前で大木が動いた。
「おわっ! 」
ズルズルと動く大木に危険を感じて柴田が数歩下がった。
同時に雨脚が激しくなる。柴田の見つめる先で大木を覆っていた泥が雨で流されていく、
「うぅ……木じゃねぇ…… 」
柴田が唸った。泥の落ちたあとにキラキラと鱗が見えた。
大木だと思っていたものがズルズルと山の斜面を下っていく、土色に青っぽい灰色の模様が付いている大きな蛇だ。
「へっ……蛇だ………… 」
柴田は蛇から目を離さずにゆっくりと後ろへ下がって軽トラまで逃げる。
蛇の体が段々細くなっていく、ぬかるんだ道を尻尾の先が通り過ぎた。
「大蛇だ…… 」
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