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「…ん?」
目覚めたら、知らない場所だった。
最後の記憶は、確か……
『君、大丈夫?』
ああ、どうしてあんな言葉を彼は言ったのだろう。
いくら、あの人に似ているとはいえ、全くの別人なのに。
どうして、あの時と同じようなことを言ってしまうのだろう。
…それは、私が最も聞きたくない言葉だから。
だからお願い。
あの人を思わせるような顔で笑わないで。
あの人のことを思い出させないで。
私は、幸せになりたくないから。
知ってしまえば、この気持ちを忘れられないから。
だからお願い。
もしも私を見たとしても、私のために喜ばないでください。
そうでないと、私は“わたし”を受け入れてしまうから。
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