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 ――私は、人間じゃない。  そう悟ったのは、いつからだっただろうか。  もう何年も昔のことで、よく覚えていない。  けれど、  ただの木の棒でも、紙の刃でも、  私にとっては、必殺の武器だ。  私を殺そうとする者に対して死を与える、必殺の武器だ。  死を与えてしまう、必殺の武器だ。  “必殺”――“必ず”“殺す”。  字面はいいが、結局はそれだけだ。  触れば、死ぬ。  問答無用で、必ず。  それは必然で、絶対だ。  けれど、生かすことはない。  当然だ。  殺すことは死を与えることで、また死を与えるということは殺すことなのだから。  死んだものが生きているわけはないし、殺したものが生き返ることはありえない。  加減も手加減もない。    私は、私の意思があろうがなかろうが、あまりにも気まぐれに人を殺しすぎる。  そんな“(もの)”が、“人間”であるはずがない。  ――私は、“(呪い)”だ。
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