17.コンチェルト

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思わず突っ込みを入れずにはいられない。 「いやいや、森嶋くんは許す側じゃなく、 許して貰う側だよね??」 「あはは、言われてみればそうですね」 >右の頬を打たれたら、 >左の頬を差し出せ。 「ちょ、ところどころ聖書も混ざってる」 「え?それって聖書なんですか? 雅さんって博識ですね」 じょ、常識だしッ。 まったくもう、この新人類め!! 読めば読むほど自分の言葉が1つも無い。 これじゃあ平さんも呆れるわ。 そう感想を述べたところで、 洗濯を終えた石原さんがやって来た。 「やだ、森嶋さん、また来たんですか」 「な、何だよ今更ッ。 いつも来てるのに突然そんなイヤそうに」 「だって森嶋さんはオンナの敵だって。 我が営業部の中では、要注意レベル MAXに格上げされちゃいましたよ」 「女ってすぐにそうして徒党を組むよな。 なんかそういうのって低俗…」 この言い争いを止めようと、 私は思わず手にしていた原稿用紙を 石原さんに渡してしまう。 「…なんですか井崎さん、これ」 「例の事件に関する制裁で 森嶋くん、反省文を書かされてるのよ。 しかもテーマが『愛について』ですって」 至極マジメな表情でそれを受け取り、 黒目を動かしながら読んでいた彼女は 次第に眉をひそめる。 「酷い…。なんですかこりゃ。 こんな男に愛を語る資格は有りません。 森嶋さんはすぐ傍に井崎さんという 愛のレジェンドがいるのに、 どうして感化されないんですか?」 「やだ石原さん、私を巻き込まないで!」 まるで女子みたいにキャッキャすると、 真顔で森嶋くんは訊いてくるのだ。 「えっと、じゃあ教えてください。 雅さんと旦那さんの馴れ初めを」
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