17.コンチェルト

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石原さんはネゴシエーターの才能 を備えているのではないだろうか。 さすが、あの口の重い光正から 恋愛話を訊き出しただけのことはある。 なんと表現すればいいだろう? 『単なる興味本位』でも、 『興味の有るフリ』でも無くて。 心の底から知りたがっているのが こちらにも伝わってくるのだ。 >アナタの恋愛を知りたいんですよ! >それを私の糧にさせてください!! …うん、そういう感じだ。 私なんかだと恋愛を斜に構えていて、 それ関連の話をすることに罪悪感を抱き、 常に傍観者の立場でいようとするのに、 石原さんは堂々と真ん中にいようとする。 恋愛をバカにしていないし、 むしろ恋愛を崇拝し、 焦がれているのだ。 この違いは大きい。 なんだかもう、 『話してもいいかな』と思い始めていた。 あの頃は無我夢中で分からなかったけど、 多分3人共キラキラと輝いていたはずだ。 みっともなくて、哀しくて、 不安に押しつぶされそうで、 そして途方もなく美しかった私達の恋。 仲間に入れずスネる唯には、 お気に入りのアニメ映画を見せておいて。 陽気なオープニング曲をバックに私は、 静かにゆっくりと語り出す。 …私と芳と、光正の物語を。
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