17.コンチェルト

7/20
前へ
/20ページ
次へ
「ざーっす」 「おはよう、森嶋くん」 あんな積極的に迫って来たクセに、 余りにも変わらないその態度に 思わず拍子抜けしてしまう。 …ん? 貴方の席は2つ向こうのシマですよ。 澄ました表情で、 森嶋くんは私の隣席に腰を下ろした。 それから手にしていた紙袋から ゴソゴソと丸い物を取り出す。 「えっと、メロンパン?」 「違いますよ。 期間限定販売の瀬戸内レモンパン」 「レモン…パン…」 「メロンの部分がレモンなんです」 「いやいや、メロンの部分ってどこよ」 「アミアミのとこですよ」 「いやいや、分かったけど なんでココで食べるの?」 「自席で食べたらきっと、 百田さんが半分くれって言うし」 百田さんというのは、 ポッチャリ系の中年男性で。 食べ歩きブログを毎日更新するような くいしんぼキャラの人である。 「ああっ、そうやってポロポロ零す~! それ、平さんに見つかったら殺されるよ。 すっごく神経質だからね、あの人」 「雅さんって、朝からよく喋りますよね」 も、森嶋くんって…。 なんだか新人類みたいだ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

424人が本棚に入れています
本棚に追加