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第2話 霊界ジャッジ
やってきたのは雲の上のような場所だった。
といっても見晴らしが良いとか、青空や星々が望める訳じゃない。
視界の端から端までボヤッとした白いモヤが漂ってるだけだ。
それ以外は何もない。
モヤと恐ろしく長い行列の他には。
何の為のものかはわからんが、凄い数の人だと思う。
「何だよこれ。ラーメン屋かよ」
目の前の光景が他人事のように感じられた。
もしかすると本当にオレとは無関係なのかもしれない。
ちょっと成り行きを見守るとしよう。
いきなりこんなものを見せつけられても、何をすれば良いか見当もつかないしな。
「おにいさーん、そこのお兄さーん!」
少し離れたところに居た女性に声をかけられた。
サラサラの黒髪に振り袖姿の綺麗な人。
額に生えている角と、裾が妙に短いことを除けば、ごく普通の和装美人さんに見える。
「ねぇ、あなた死んだ人でしょ?」
「え。うん、そうだけど」
「だったらそこの最後尾に並んで。それからは先々の係員に聞いてくれれば良いから!」
「あのさ、ここってどこなの?」
「それじゃあよろしくねー!」
「お、おい!」
質問に答える事なく、女の人がどこかへパタパタと駆け去っていった。
話くらい聞いてくれても良さそうなのに。
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