第2話  霊界ジャッジ

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せめてこの状況について知りたかったが、悩むだけ無駄なのか。 ひとまず言われた通りにしよう。 列の歩みは遅かった。 10秒おきくらいに1人分詰められていく感じだが、余りにも待ち人が多すぎるのだ。 ヒマつぶしがてらに周りの連中と話そうとしたが、それは無理な相談だった。 「もしかして、世界中の死んだヤツらが集まってんのか?」 ここは異様なほどに国際色豊かだった。 西洋、中東、ラテンにアジアン。 さながらインターナショナル・スクールみたいだ、通ったことねぇけど。 彼らの大半は泣いていた。 言葉はわからんが、きっと自分の運命を嘆いているんだろう。 遺してきたモノに未練が断ち切れない様子だ。 そして、それはオレとて同じこと。 「そう、味噌。味噌だよお前。せっかく買った赤白合わせの3種……。一口で良いから食いたかったなぁ」 死ぬにしても、コレクションたちと別れを済ませたかったもんだ。 特に新入りの3点。 アイツらの味を知らずして旅立つなんて、こんな不幸があるだろうか、否無い。 「はい次の人。ゲートくぐって」 「……ふぇ?」 「アンタだよアンタ! 良いからさっさとくぐってくれよ、後がつかえてんだ!」 考え事をしている間に、いつの間にか列は大分進んでいた。 目の前にはアーチ状のオブジェがある。     
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