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エレナリオやアルフェリアは魔人の支配下となり、人間側はミレイアとディスティナに立て籠るのがやっとという有り様になった。
管理を引き受けた段階で『現状維持』を頼まれた身としては、相当にマズイ状況なのである。
「これ絶対ヤバイやつじゃん! クビになっちゃうよぉお!」
マリアンヌも若くはない。
アルバイトとはいえど、ここで職を失えば、次に仕事を得られるのは何万年後になるか分かったものではない。
その間、延々と実家暮らしになるのは確実だ。
父母の嫌みを延々と聞かされる毎日が待っている。
「ダメ! そんなん絶対嫌だからね!」
彼女は極秘裏に地上へ介入する方法を考えた。
神の力により災害を発生させたり、奇病を蔓延させたりする事はできない。
能力的には可能だが、派手な対処法では己の失態について大声で触れ回るようなものだ。
天上神はもちろん、何かと口うるさい契約神の耳目を欺ける手段でなくてはならないのだ。
「チッ。もうこの手段しかねぇよな」
マリアンヌは机上から1枚の書類を探し出した。
それは名簿であり、何人もの人物名がビッシリと書き込まれていた。
「転生適正S、タクミ……か。弱っちい見た目だけど、真面目そうだね」
こうしてマリアンヌは、多少の不安を覚えつつも、地上へと介入した。
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