プロローグ

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 5月ももう終わろうかという時だった。    警視庁特殊犯罪捜査室の刑事――仙川広信(せんかわひろのぶ)は最近街で連続している“通り魔事件”の聞き込み調査をしていた。  上司からは「お前は部下を亡くしたばかりなんだから休んでいろ」と言われたが、無理を行って現場に出させてもらった。その方が同僚たちの陰口を聞かずに済みそうだったからだ。  “部下殺し”――同僚達がそんな噂をしていても、仙川にとってはどうでもいい事だった。それよりも、その噂から派生した陰口にうんざりしていた。  “犯罪(あく)には警察(せいぎ)の鉄槌を”。警察こそが“絶対の正義”だ。そう。銃を持っている警察官の自分こそが。 「……次はここか」  気持ちを切り替えるようにひと呼吸おき、四月一日家のインターホンを押したのだった。
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