一章

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今日は金曜日。美玲が死んだ事を知らされたのは、二日前の水曜日のことだ。昨日の木曜日は、気持ちの整理がつかないからと言う理由で学校に行かなかった。 しかし、流石に今日は行かないといけないだろう。 中学二年生と言う大事な年の子たちの担任が、何度も休んでいられない。 ______________________________ 「おはようございます…………」 今の時刻は、八時二十分。本来なら、朝のホームルームをしないといけないはずのこの時間。 職員室に入ってすぐあいさつをする。 しかし、美玲のことで相当参っているのか、暗くて元気のないあいさつになってしまっていた。 他の教師たちも、何故俺が暗いのかは分かっているのだろう。 誰も話し掛けても来ない。 …………一人を除いては。 「お~い。大介!とりあえず屋上行こうぜ!」 そんなことを、須川に小声で言われ、断りづらくなった。 普段、屋上は鍵で封鎖されている。しかし無用心なもので、その鍵は、職員室の鍵置き場に置いてあるため、いつでも鍵を空けて入ることが出来るのだ。 「やっぱここは気持ちいいなぁー」 須川はこの場所が好きだ。 俺も最近は屋上には来ていなかった。少し懐かしい感じがする。 ______________________________ 「大介っ!こっちおいでよ!涼しいよ!」 明るい声で話しかけてくれていた美玲のことが頭に浮かぶ。 ______________________________ 「あの、さ、大貴。」 思わず、学生時代の頃のように、須川のことを名前で呼んでしまう。 「なんだ?何でもいってこいよ。学生の時みたいにさ。」 そうだった。いつだって、大貴は俺の話を黙って聞いてくれる。 俺はすべてのことを話した。美玲の家に行っても誰もいなかったこと。その後は、美玲の母親が帰ってきて、死んだ事を伝えられて、 そのまま手紙を渡されて、泣いてしまった事。 その時の手紙の内容や気持ちなどをすべて話した。 そして、大貴が言ったのはたった一言。 「死んだ理由は多分、お前の事だと思うぞ。」 美玲が死んだのは俺のせい?そんなはずはないだろ。第一何で俺が関わってるんだ? 様々な思いが頭の中を駆け巡り、ショートしそうになる。 「言えるのは、美玲はお前のことが好きだった。ぐらいだな。」
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