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今日は金曜日。美玲が死んだ事を知らされたのは、二日前の水曜日のことだ。昨日の木曜日は、気持ちの整理がつかないからと言う理由で学校に行かなかった。
しかし、流石に今日は行かないといけないだろう。
中学二年生と言う大事な年の子たちの担任が、何度も休んでいられない。
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「おはようございます…………」
今の時刻は、八時二十分。本来なら、朝のホームルームをしないといけないはずのこの時間。
職員室に入ってすぐあいさつをする。
しかし、美玲のことで相当参っているのか、暗くて元気のないあいさつになってしまっていた。
他の教師たちも、何故俺が暗いのかは分かっているのだろう。
誰も話し掛けても来ない。
…………一人を除いては。
「お~い。大介!とりあえず屋上行こうぜ!」
そんなことを、須川に小声で言われ、断りづらくなった。
普段、屋上は鍵で封鎖されている。しかし無用心なもので、その鍵は、職員室の鍵置き場に置いてあるため、いつでも鍵を空けて入ることが出来るのだ。
「やっぱここは気持ちいいなぁー」
須川はこの場所が好きだ。
俺も最近は屋上には来ていなかった。少し懐かしい感じがする。
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「大介っ!こっちおいでよ!涼しいよ!」
明るい声で話しかけてくれていた美玲のことが頭に浮かぶ。
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「あの、さ、大貴。」
思わず、学生時代の頃のように、須川のことを名前で呼んでしまう。
「なんだ?何でもいってこいよ。学生の時みたいにさ。」
そうだった。いつだって、大貴は俺の話を黙って聞いてくれる。
俺はすべてのことを話した。美玲の家に行っても誰もいなかったこと。その後は、美玲の母親が帰ってきて、死んだ事を伝えられて、
そのまま手紙を渡されて、泣いてしまった事。
その時の手紙の内容や気持ちなどをすべて話した。
そして、大貴が言ったのはたった一言。
「死んだ理由は多分、お前の事だと思うぞ。」
美玲が死んだのは俺のせい?そんなはずはないだろ。第一何で俺が関わってるんだ?
様々な思いが頭の中を駆け巡り、ショートしそうになる。
「言えるのは、美玲はお前のことが好きだった。ぐらいだな。」
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