第2章 失恋的呪詛

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 その日の放課後、どうしても彼のことが気になって居ても立っても居られなくなってしまったので、私は今日だけテニス部を休んで彼のスキャンダルの調査に向かうことにした。  帰宅部の彼は私と一緒に下校したいという理由で、本人が所属するクラスである一組の教室で私の部活が終わるまでいつも待機している。  だがしかし、目撃情報があったのは二組。つまりは一組に彼氏が居なかった場合、高確率で私の彼は二組の女の子に会いに行っているということになる。  「テニス部の忍者」の異名を持つ私は、さながら忍者のように気配を消し、自分の荷物を持って小走りで一組の教室に向かった。  一組の教室に到着するが一組の教室はもぬけの殻で、彼の荷物だけが散乱していた。  彼の荷物があるので彼はこの学校にいる。この教室にいないということは友達から聞いた話通り二組の教室にいる可能性が高い。  彼がこの隣りの教室で他の女の子と仲良くしていると思うと背筋が凍りそうだが、私は一組の教室から二組の教室内を覗いてみた。  ──ガチン。(私の背筋が凍った音)  案の定、二組の教室内では私の彼と可愛い女の子のペアが放課後の誰もいない教室で茜色の夕日に照らされながらいちゃついていた。  私はすぐさま二組のドアにしゃがんで張り付いた。  「テニス部の忍者」と呼ばれる程のスパイテクニックを持つ私はドア越しにいる二人の会話を難なく聞き取る。 「えっ! マジで! ? あー君彼女いんの! ? 」 「あー、いるよ。でもアイツとはさ、遊びのつもりで付き合ってやってるだけだからさ」 「ほんとぉー? 」 「マジでアイツがさー俺に付き合ってくれってしつこかったから、しかたねーなーって感じで付き合ってやったんだよ」 「あー君、やっさしぃー。でもこれをさ、あー君の彼女が聞いてたらぁー、めっちゃショックだろうねぇー」 「いや、そんな訳ねーよ。アイツは今頃テニスの練習で汗でも流してんじゃねーの? ほら、アイツが部活してる間に本命のお前と一緒にいようと思って俺は帰宅部に入ったんだぜ。アイツには下校も付き合わされるからな」  ──衝撃。どころではない!
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