事実は小説よりも怪談なり。眼

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猛暑続きの暑い暑い日 夜九時過ぎに 学生寮内の巡回に エレベーターに乗って 最上階(十二階)へ 上昇始めた時でしたね 三階辺りを過ぎた頃 ふと 普段は気にならない エレベーター左右に開く扉の隙間が目に入ったんですよね 何が気になるって いままで 巡回の度に 上に昇るのに幾度も使用しているエレベーター  絶対にそんなことはなかったはずなのに その時は 扉の真ん中に 縦に隙間が開いてるように 見えるんですよ 「ん? なんか扉隙間に挟まってるか」なんて思いつつ その隙間の下の方を見たら えっ~! エレベーターの床から数十センチくらい (大人の膝くらいの辺り)に ひとつだけ黒目勝ちな瞳 が覗いてるんですよね 「んなばかな?」 と 今一度 見ると 明らかに その眼も 視線を合わせて来るんですよ 「そんなはずあるか~!」 っと もしかしたら 虫かなんか挟まってるんじゃないかと 近寄って ジーっと見つめてみると 確かに ひとつの眼なんですよね つまり  エレベーターの扉の隙間 膝辺りの位置から ひとつの眼が 覗いてるわけですよ こいつは 吃驚しますよねえ だって どういう状況で そんなものが見えるのかてのもあるんだけど そいつが意思を持ってして こちらを窺ってるってのが めちゃくちゃ 嫌でしたねえ だって どう考えても そんなところから覗くような生き物いるわけないじゃないですか? ジーっと見つめられてさぁ  しかもひとつ眼。 この時ばかりは 早く 最上階着いてくれぇ もしくは どこかの階で停まってくれとか 一瞬 思ったんですけどね ここから さらに これ もしかして 扉に挟まってる? って。。。。。。 逆に 「じゃあ 扉開いたら この眼の持ち主見てしまうのでは?」って 思ったら 背筋に 汗がたらーり  いやあ 生きた心地しませんでしたね その眼 そのうち きょろって 動いて こっちを見たんですよ うぎゃー~! 絶叫しそうになるや チーン って 最上階着いて 扉が開いたわけだ うわあ   見たくねえ が 別に そこには  特に何もいなかったんですけどねぇ あの時の十二階までのエレベーターの上昇 すごく 鈍く 何十分も乗ってた気持ちになりましたね
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