3人が本棚に入れています
本棚に追加
それで扉はあっさり開いて、弐織がオレの家に入ってくる。
いつもどおり。
「おい、壱琉! 毎朝毎朝なんて格好してんだよ!!」
そしてこのお叱りもいつもどおり。
というか、旧世代体質で頭とか痛い筈だから怒鳴らなくても良いのに。
「えー、オレ的には問題ないもん」
「お前に問題がなくてもオレが嫌なの!」
「でもハラスメントコードは出てないし、セーフでしょ?」
「ハラスメントコードが出ないからって問題ないワケじゃねぇよ」
「だけどコードが出てなきゃ、不快感は抱いてないってコトだよね?」
弐織が「やれやれ」とばかりに頭を抱えた。
ハラスメントコード。
個人の権利を侵害しないために定められている規定で、不快感を抱かせること・恐怖感を抱かせることはできないようになっている。
つまり現状を例に挙げるなら、着替え途中のオレを弐織が「不愉快だ」「セクハラだ」なんて感じれば、同性だろうが幼馴染だろうが関係なく、オレはシステムによって強制的に着替えさせられたり、弐織との接触ができなくなったりする。
それがないってことは、弐織に不快感を抱かせてないってことだし、他の誰かがいるワケでもないからいいと思うんだけど。弐織は変なとこが厳しい。
一応ハラスメントコードは適応されてるらしいけど、オレ達にとって当たり前のシステムほとんどが受け付けない体質、旧世代体質だからハラスメントコードの演算結果より自分の中の倫理観とかを大切にするのかな。
別にオレも倫理観がない方ではないけど、ちょっと面倒そうにも見える。
「それに少しはしっかりしねぇと駄目だろ。つーかお前いくつだよ? 高校2年が同い年にされる説教じゃねぇだろ、服をちゃんと着ろ、なんて」
「外じゃしっかりしてるじゃん? 家の中くらいだらけさせてよね」
最初のコメントを投稿しよう!