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銃弾は1寸の狂いもなく、鬼の眉間へ吸い込まれるはずだった。
その弾道に飛び込んできた黄色いあひるが身を呈して弾を受け、キューッと鳴かなければ。
牛の着ぐるみの子供が鬼の前に駆けていき、あひるを拾った。
「あー!癒し熊の親友、黄色いアヒルちゃんに穴がー!!お茶屋のすたんぷ集めて、やっとげっとしたとに……」
焦げて煙の立つアヒルに頬擦りした。
「ごめんね夢摘さん。ムーンの玩具かと思って投げちゃった」
白い道行を着た女が白い子犬を連れて、子供の方へ近付いていく。
その後ろで鬼があちちっ!と頭を押さえた。
「何かがわしの頭をかすりましたぞ!ん?髪の毛がない!?夢摘さん見て!」
「……羅魏さん残念なお知らせがあります。額から登頂部にかけて、幅一寸、長さ五寸ばかりの禿げが出現したもようであります」
敬礼しながら、牛の子供は鬼に報告した。
呆気にとられて眺めていた水城心音は我に帰って馬を進めた。
「あんた達何者?」
笹の茂みから三人と一匹の前に姿を現すと、白い子犬がウーッと唸りながら、女の後ろへ隠れた。
「あまぞねす?」
鬼が呟く。
「じゃが!あまぞねすの懐かしの厚底ぶーつ!」
牛の子供が目を輝かせた。
「え?あまぞねす?厚底って何?」
白い道行の女が首をかしげた。
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