夢から醒めない夢

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 and 4years later... * * * *  「たぶん俺、前世で悪魔に魂を売ってます」  隣で微睡んでいたひとは、何言ってるんだ、という顔でこちらに視線だけ向ける。  昨夜シャワーを浴びて寝室に戻ってくると、彼は眠っていた。  「ミコ先輩……寝ちゃったんですか……」  戻ったらたくさん、それはもうたくさん彼の隅々まで愛そうと昂らせていた心と身体を、ギリギリのところで制御させながら横たわる彼に近づくと、彼は吹き出してフリを解除した。それから妖艶とも思える潤んだ瞳で見つめられて、めくるめく夜が更けたのだけれど……。一度焦らされたために、ちょっと無理を強いたかもしれない。彼の表情にはすこし疲れが見えた。  長い睫毛が気だるげに上げられて、綺麗な薄茶の瞳には俺だけがうつっている。白いシーツに散った明るい色の髪の一本ですら愛しくて、宝物のようにそっと触れた。  「だって、ミコ先輩にこういうことするとき、心臓が痛くなるんです。罪悪感みたいな、イケナイコトしてるみたいな、誰かに咎められてるみたいな感じで」  「でも、するんだろ」  桃色の花のつぼみが綻ぶみたいに優しく笑ってくれるから、うん。と頷く。柔らかい髪の持ち主の形の良い頭に触れる。そのまま、首筋、裸のままの肩、白い背中、痕をつけた腰。拒絶されなかった。許されている。  「すきです」  「……っ。セックスが?」  昨夜散々愛しあった窄まりを指でなぞると、これはさすがに抵抗があった。  「それだけじゃなくて。ミコ先輩の、ぜんぶが好きなんです。愛しています」
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