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新しい世界に飛ばされる時、『あの人に恋をしている彼』のことが好きだったら、と思うと怖かった。
それは杞憂に終わったのだけれど、彼の心が誰かに奪われるのではないかという不安はおそらく、この世界を生きる限り一生続く。
それでも、悪魔に魂を売って良かった。だってそれ以上の恩恵を受けてる。
彼の頬を汚した涙を拭って、キスをした。
「俺がずっとそばにいますから」
だから淋しくないです。あの人の何倍も俺が愛します。誓います。
俺を見て、安心した顔の彼を抱き締める。
彼をこの腕で抱き締められること。キスできること。愛して愛し返して貰えること。
それは永遠に味わっていたいと願うほどに、とても、幸せなことだった。
《終》
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