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大学ではどんな被害者面をしようか。そんなことばかりを考えていた。そもそも、俺と七瀬の関係を知っている奴はほとんどいないのだから、演じる必要もないのかもしれない。
俺はカーテンを開け、部屋の中を光で満たすと大学を目指して家を出た。
大学はいつもの通り賑やかで、うるさいくらいだ。七瀬の噂をしている様子はない。人が1人消えたくらい、関係の無いこいつらにとってはどうでも良いことなのだ。
それにまた、腹が立った。
今日は天気が良い。食堂のテラスには、複数のカップルが見える。それだっていつもの光景なのだが、何だか違和感がある。掠めただけのような違和感。しかし、俺の中では引っかかって仕方がない。
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