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「バカバカしい。大体お前は誰なんだよ」
こんなことで、いちいち腹を立てていてはキリがない。彼は間抜けな顔をして、すぐに取り繕ったような笑みを浮かべた。
「そんなこと、どうだっていいじゃないか。その死体、もしかして今朝テレビでやっていた殺人事件に似せたものかな?」
「だとしたら?」
吐き捨てるように答えると、彼が鼻で笑うような息遣いが聞こえた。驚いて顔を上げると、彼はすでに背を向けていた。
「おい、待てよ」
「あっ、説明を忘れていたね。この写真は僕の個人的な趣味で撮ったものだから、誰かの目に触れるようなことはないよ。警察に捕まるかどうかは君次第ってことさ。じゃあ、頑張ってね」
ひらひらと右手を振る彼にもう一度静止を呼びかけたが、振り返ることなく人通りの方向へ消えた。
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