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1 待つ人
ー 波の音が聞こえる。
この星の海の音。
音だけで比べるなら
きっと地球の海と変わらない。
海の目の前に、ひとり少女がいた。
静かに目を閉じ寝そべっている。
少女はここ数時間その様子だ。
時折、銀色に透き通る髪がサラサラ揺れて顔にかかる。
それでも少女は動かなかった。
長くキラキラと光る睫毛
淡いピンク色の頬と唇
消えてしまいそうな真っ白な肌。
少女はピクリとも動かない。
『まだ死んでないわよ。』
目は閉じたまま、一言呟いた。
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