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ー 波の音が聞こえた。
確かにすぐ近くで聞こえている。
(ここは…海?
海の近くにいるのか?)
視界が真っ暗で目が開かない。
体を起こそうとしても力が入らない。
(何なんだよコレ…)
手だけは動かせるので、
恐る恐る手を上に伸ばしてみた。
手を振り辺りを探る。
手のひらが温かく感じた。
『…ん?何か……ある??』
ー ッパ!!
『……!!』
目が開いた。
視界に入って来たのは
自分のピンと伸ばした両手と
いつもの自分の部屋の天井…
(天…じょう…?)
『夢…か?!…
なんだ?今の夢…変な夢。
新種の金縛りかよ?』
頭をガシガシ掻きながら
ふと枕元の時計を見た。
『ゲェッ!?4時!!?
夢なんか見てる場合じゃねえ!!
マジで寝なきゃ明日起きれねえ!』
布団をかぶり直し急いで目を閉じる。
『それにしても…あの温かいの…』
呟きながら、ブンブンと頭を振った。
(やめやめ…明日遅刻したら洒落にならん…)
キツく目を閉じ考えを振り払う。
悶々とする頭をよそに
間もなくして眠りについた。
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