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4 走る人
ー ハァ、ハァ、ハァ、ハァ
『ダァアー!クソーッ!!』
ー ハァ、ハァ、ハァ
『あのアホ目覚ましがーッ!!!』
大声で悪態をつきながら、青年は
死に物狂いで立派な上り坂を駆け上がっていた。
時を少し元に戻して説明すると、
目覚まし時計の時間がなんと1時間も
ズレていた為に只今、大遅刻中なのである。
『帰ったらマジであの目覚まし捨てる!
クッ…絶対捨てる!…ハァ、ハァ…死ぬ!』
今日は青年にとってとても大事な日であった。
大学の進級がかかったレポートの提出日だったのだ。
ようやく坂のてっぺんが見えてきた。
てっぺん越しに大きな大きな入道雲が見える。
いつもなら自転車で通っている道だが
その自転車も先日盗まれるという悪運続きだった。
『ハァ、ハァ、もう嫌…行きたくねぇ!
大学なんて今すぐ辞めてぇー!入道雲よー頼む!
俺も…俺も…俺も!!空の彼方まで一緒に
吹き飛ばしてくれぇええーーー!!!!!』
ー ハァ、ハァ、ハァ、、、
(…フッ、暑さでおかしくなったな俺……)
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