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あれ? なんか予想と違う反応。というか、ちょっと待って、なんか聞き捨てならない台詞が……というか、ごめん、ひいばあちゃん、今、思い出したよ。彼岸のあとに海に行っちゃいけないのは、クラゲのせいだけじゃなく───
「まぁ良い。これでしもべはげっとじゃ。この使い方で間違ってはおらんよな?」
使い方? あぁ、「ゲット」って言いたかったのかな? しもべはゲットね、うん、まぁ間違ってはないかなぁって、ちょっと待って、俺は違うから!
けどそう俺が警戒心をマックスまで高めたところで遅かった。というか俺が声をかけた時点で俺の敗けは決まっていて───。
けど俺は一縷の望みを賭けて言ってみた。
「な、なぁ、俺もう二十歳越えてて、この夏を前に二十二歳になったんだ、二十歳までに霊体験しなければ大丈夫なんじゃなかったっけ!?」
「なんだ、その戯れ言は。そもそも我等にとって人間の年齢など関係ないわ。それより人間、昨今の者共は正しい迎え盆も送り盆もせぬせいで、三途の川と間違えて海を渡ろうとした輩がおってな。ここ数日前から海坊主が暴れようとしおる。今からあそこに見える江ノ島に登り、『龍恋の鐘』を鳴らしてこい」
「俺一人で!? いやいやあそこ恋人の聖地で、一人で行ったら寂しい奴だと思われるだけじゃねーか! それにあんなのこそ人間が勝手に作ったモノだろう!? そんなんで効果あんのか!?」
テノールの少女───違和感でしかない───の語りにすっかり飲まれてしまっている俺は本当にお手軽だと思う。声はテノールでいただけないけど、見目だけならこの子と一緒に行くならまだ体裁が整うかなと思いながらも、やっぱりあんな観光スポット目的の鐘ごときでそんなご利益があるとは思えないんですけど!?
けれども少女は動じてもくれず、もっと俺のことを『アホか』という目で見て言ったのだった。
「大きな音はそれだけで魔除けになる。なんやら人間のために作られた物ではあろうが、案外そこに音の鳴るものを置こうと思ったのは誰かが啓示を受けたからかもしれんだろ?」
そんな不確かな理由で行政が頷いてくれるとは思わないけれど、これ以上、ここで押し問答しているよりは、一発鐘を鳴らして終わりにしてやろうと俺が腹を括った時。
「そうじゃった」
よく通るテノールに呼び止められた。
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