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二匹はお互いに顔を見合わせ、一緒に帰路を走り出した。穏やかな日差しの太陽はいつの間にか隠れ、冷たい北風が雨雲を引き連れてやってくる。やがて、ぽつりぽつり、と雑草に水間が落ちてきて、間もなくさめざめと霧雨を降らし始めた。
水に濡れたラベンダーは紫色を雨に浸み込ませ、違うさながらリキュールのような艶かしい香りをまとう。
同じラベンダーなのに、日向と雨の中ではまるで違う表情。誰かがそれを例えた言葉をレオナルドは思い出す。
「『昼は令嬢、夜は娼婦』、ね。お子様は帰る時間かな?」
「ははっ、確かに。さあ早く、国王がお待ちですよ」
林すら生えないようなだだっ広い荒野の向こうに目指す街並みが見える。レオナルドとジェフリーは居城へ戻る道をひた走った。
大ブリテン島スコットランド。荒涼とした大地が広がるハイランド地方には、猫の妖精ケットシーが暮らす国がある。
時に1580年。これは後の《獅子王》レオナルド・スチュワートが、まだ昼寝好きののんびり屋だった頃の物語である。
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