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人気がなくどこかよそよそしく感じる夏休みの廊下を、杏菜(あんな)は一人で歩いていた。 最も、よそよそしいのは夏休みのせいではなく、ここに馴染めていない自分の心のせいなのかもしれないけれど。 手にしたスマホには、クラスメイトからのメッセージ。 『ごめん杏菜!うちら今日行かないわ』 周りに誰もいないことを確認し、杏菜はため息をついた。 こういうことは初めてではなかった。 突然、目の前に差し出される残酷な事実。 大型連休の後にみんなからだとお土産を渡される。 誕生日プレゼントを自分以外で贈りあっていたと後から聞かされる。 今日もそうだった。 美術の課題を片付けようと、グループの二人と登校する約束をしていた。 でも。 『今日は行かない』 その一言で呆気なく、杏菜は切られてしまった。 二人が一緒に出掛けたのか、それぞれ予定が入ったのか、それとも単にめんどくさくなってしまったのかは分からない。それでも、杏菜よりも優先度が高い誰かがいる。ただそれだけのことだ。
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