02_発見

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02_発見

 ところどころ道は途切れ、狼混じりの野犬の群れなどにも遭遇したが、さして困ることもなく三日間が過ぎた。そして、森に入って四日後、不意に出くわした崖の下に、俺は信じがたい光景を見た。  一面の、黄金の海。風に波立つ波頭もまぶしく、それが小麦の畑であることにしばらくは気づけなかった。よく見れば、小麦畑の片隅を切り取るようにして、木造の住宅群が整然と立ち並んでいる。どうやら目的地を見つけたようだ。俺は周囲を見渡して、比較的傾斜の穏やかな斜面を見つけ、町に下りていった。  帰らずの町、という物騒な呼び名に反して、町はいたって開放的だった。城壁や柵があるわけでもない。兵士や軍隊が周囲を監視しているわけでもない。活気のある、居心地のよさそうな町だ。俺が町に入ると、鮮やかな青色のスモックを羽織った若い男が、陽気に声をかけてきた。 「あっ、お兄さん、旅の人だね! 僕たちの町にようこそ~!」  そう言って、くるっと回るとぺこりとお辞儀してみせる。おどけた調子で男は続けた。 「お泊りだったら宿まで僕が案内するよ! 見物だったら町長の許可がいるから、それもやっぱり僕が案内する~」     
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