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「ああ、大丈夫だよ。ここ(地下研究室)は地上から三百メートルも深い所だから、ちょっとやそっとのミサイルぐらいでは……」
――ズッドッッーン!
言葉の途中で一際大きな衝撃音と振動が奔る。
衝撃の揺れでティアがバランスを崩して倒れそうになったが、すかさず青年が手を差し出しティアの身体を支えた。
「大丈夫か、ティア?」
「う、うん……」とゆっくりと頷いた。
青年は辺りの状態を確認をしつつ、急いで目的の場所に行かなければならないと判断し、ティアの手を引っ張って先へと進み行く。
地上はミサイルの爆撃によって、ライフラインは破壊されている。そのせいで電力給源は正常に機能しなかったが、研究所には独自開発した発電機が設置されていた。
その発電機のエネルギー元は“放射能”。空気中に散布されている僅かな放射能を汲み取り、電気に変換する技術が備えられていた。
「電力に関しては、これから訪れる世界ならば問題無いはず。それに……ここの耐震強度は、核ミサイルが打ち込まれる事態を想定して作られている。ここが壊れなければは電力が止まることはない……」
心配事がつい青年の口からこぼれていた。
それを聞いたティアは、ギュッと青年の手を握り返す。
「どうし……」
ティアの愛らしい瞳に物憂げな陰が映っていることに気付いた。
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