◆プロローグ

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「ああ、大丈夫だよ。ここ(地下研究室)は地上から三百メートルも深い所だから、ちょっとやそっとのミサイルぐらいでは……」 ――ズッドッッーン!  言葉の途中で一際大きな衝撃音と振動が奔る。  衝撃の揺れでティアがバランスを崩して倒れそうになったが、すかさず青年が手を差し出しティアの身体を支えた。 「大丈夫か、ティア?」 「う、うん……」とゆっくりと頷いた。  青年は辺りの状態を確認をしつつ、急いで目的の場所に行かなければならないと判断し、ティアの手を引っ張って先へと進み行く。  地上はミサイルの爆撃によって、ライフラインは破壊されている。そのせいで電力給源は正常に機能しなかったが、研究所には独自開発した発電機が設置されていた。  その発電機のエネルギー元は“放射能”。空気中に散布されている僅かな放射能を汲み取り、電気に変換する技術が備えられていた。 「電力に関しては、これから訪れる世界ならば問題無いはず。それに……ここの耐震強度は、核ミサイルが打ち込まれる事態を想定して作られている。ここが壊れなければは電力が止まることはない……」  心配事がつい青年の口からこぼれていた。  それを聞いたティアは、ギュッと青年の手を握り返す。 「どうし……」  ティアの愛らしい瞳に物憂げな陰が映っていることに気付いた。
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