キリエと青色ペンギンと魔法の言葉

其の壹 ：カリタさんのコト

「懐中時計を持ったウサギさんがキリエの前を慌てて走り過ぎようとしたの」
「それって、不思議の国のアリスじやない。私が聞いているのは、なんでそもそも時間に遅れたのかってコトよ」
「流線形のカッコいいスポーツカーに乗って蝶ネクタイをして葉巻を喰わえたウサギさんにナンパされそうに…」
「ロジャーラビット」
「それじゃ、行く手に鰐さんがいっぱいいて…」
「それじゃ、じゃないでしょ、因幡の白兎っ。もうっ！いいわ。そんなんだからいい歳して結婚どころか彼氏も出来ないのよ」。

あーあです。余計なお世話ですね。ちょっと合コンの時間に遅れただけなのに、そんなに怒らなくってもいいじゃないですかねー。ま、もともとはキリエが少し居眠りをしていて時間に遅れたのは間違いないですけど、待ち合わせ場所の駅を降りたらお店が分かんなくなって、時間も遅れてるしキリエとしては、早くお店を探さなきゃって、ウロウロしてたら歩道の段差に躓いて転んでスカートを破いちゃったんですよ。そんで慌ててユニクロでスカート買ってたらなかなかサイズが合わなくって、そうこうしていたら昔の知り合いに出会ってお喋りに花が咲いて、しつこくラインが鳴るもんだからスマホを見たら、山の様にカリタさんからラインが入ってて、あれから2時間も経ってるし「もういいや」と思ってライン無視して帰ろうとしてたら、カリタさんが鬼の形相で現れてキリエはカリタさんに拉致されたと言うわけですよー。何でもGPSでキリエの居場所を調べて迎えに来たらしいです。進化する科学の力は恐ろしいもんです。やっと合コンの二次会に合流で、いろいろあって疲れたし、初対面の男子とお喋りは苦手だったから隅っこの方でウトウトしてただけなのにそんなに怒んなくってもいいじゃないですか。

最近、カリタさんは何かイベントごとがあるとキリエを誘ってきます。で、なんやかんやキリエはカリタさんに怒られてる気がしてなりません。最近ちょっと理不尽な気がしてきました。そんなに怒るんならキリエを誘わなければいいじゃないですか。特に合コンの時は必ずと言っていいほど誘われます。初めはモテないキリエのために誘ってくれてるんだ、と思っていましたけど、なーんかキリエはカリタさんの引き立て要員かもですね。