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「じゃあ・・・御剣さんは・・・・・・あの時の・・・」
慌てて私は携帯を取り電話を掛ける。
繋がらずに、私は席を立ち御剣さんが居るであろう屋上へと向かった。
《屋上》
急いで階段を上り、屋上のドアを開けると、そこには御剣さんが居て私はゆっくりと近付いた。
優しく微笑む、御剣さんはやっぱり良く見ると、あの時の男性だった。
「どうして、会ったことが無いなんて言ったんですか?」
「私達は会った事が無いと言ったのに、何で信じてくれないんです。」
「本当の事を話してくれても・・・」
「貴方の元彼に重症を負わせたなんて言えるわけがない」
辛そうな表情に胸の奥が締め付けられる。
違う。御剣さんは勘違いしている。私は・・・御剣さんが・・・・・・。
昔から大好きだった。
優しくて友達思いで頭が良くて、そして誰よりも私を大事にしてくる唯一の男友達だった。
「思い出して欲しくなかった」
「御剣さん!」
「知らなかったら、もう少し一緒の時間を過ごせたのに・・・・・・残念です」
御剣さんは私の傍に来ると髪を優しくフワッと撫でて隣を通り過ぎていった。
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