第1章 出逢い

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恋愛経験がゼロな私が初めて好きになった人は恋人が居る人で、告白して振られて悲しみに暮れていた。 悲しくて苦しくて今にも消えてしまいたいのに不思議と涙はでなくて、裏階段で溜息ばかりをついている。 「・・・・・・我慢しなくて良いんじゃないですか?」 私は驚いて顔を上げると、そこには見知らぬ男性が居て、男性は私の隣に座ると黙って私の髪を撫でてきて思わずビクッと肩を揺らしてしまう。 驚いたが、その暖かさに何故か癒され、そして涙が零れてしまった。 その時に、私は寂しかったんだと誰かに慰めて欲しかったんだと分かり胸の奥が今更痛み始めてくる。 「・・・」 知らない人なのに何でこんなにも安心してしまうんだろうと思うのに涙は止まらなくて、苦しくて悲しい想いが涙として零れていく。 傍から見れば、みっともない姿なのに男性は私にハンカチを渡すとその場を後にした。 後でお礼を言おうと私は貸してもらったハンカチで必死に涙を拭い少しだけ高鳴る心臓を落ち着けた。
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