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第1章 望んだ結末。
彼女の白くて細い手を取った。
「ありがとう。」
ローズはゆっくりと立ち上がり、僕に向かって微笑んだ。その笑顔は本物だ。僕も、笑い返す。そして、暗闇へと続く一本道を見据えた。ここから先、太陽の光に当たる事は殆ど無いだろう。僕は、金色の花と太陽の匂いを最後に嗅いで、ローズの手を引っ張った。
二度目だった。この世界に来るのは。リセットする前。僕達は、互いにハッピーエンドを望んでいた。勿論誰かに危害を加えずに、武器も持たずに、結界の部屋まで辿り着いた。それを、跡形も無く踏みにじったのは。
「…Howdy.」
他でも無いFroweyだった。
僕はローズを背後に匿った。…だが、一向にフラウィが喋る気配も無く、ただ無音な空間が広がっていた。フラウィはどうやら、何か考え込んでいる様だ。
「…君、誰…?女の子の方。…君は、前の時間軸には存在しなかったはずだ…。」
僕は眉間にしわを寄せた。何を言っているんだろう。ローズは、前の時間軸で一緒に行動した僕の唯一の相棒だ。それを、存在していなかった?何か嘘でもついて、戸惑わせる作戦だろうか。ローズが恐る恐る震える唇を開いた。
「…それ、どういう事…?私は…ずっとフリスクと一緒に居たよ…?」
僕の陰から少しだけ顔を出したローズの瞳は、恐怖で揺れて居た。フラウィの金色の花びらが、何処からか吹いてきた風でひらひらとなびく。
「……あ~…成る程ね。」
いつのまにか、フラウィの目の前にローズのソウルが浮いて居た。僕は身を強張らせた。ローズが、殺される。一瞬で考えられたものはそれくらいだった。僕はフラウィを思い切り睨んだ。
「返せ。それはローズのだ。」
フラウィは僕に見向きもせず、ただ、不安げな表情でその『真っ黒なソウル』を眺めて居た。
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