まだ始まっていない

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まだ始まっていない

「学校終わったー。」 今日から夏休みだ。 僕はそんなに嬉しくない。 「宿題」というものがなければ...。 電車から降りたとたん、蒸し暑いのを体感した。 熱中症対策に水をカバンから取り出し、それを1口。そしてしまう。 乗り換えがめんどくさい。 ここの駅は広い。 古臭いエスカレーターを降り、ホームで待つ。 売店が目に付いたのでそこで、飴を買う。 ホームに戻った。スマホを片手に待つ。 電車に乗り、次の駅で降りそうな人を探す。その人の前で待つ。 人が多いので冷房はついているが、暑い。 ちょうど次の駅でその人が降りた。そこの席に座り、最寄り駅を待った。 少し眠たくなったところで、最寄り駅に着いた。 今、好きなゲームがないから、何も考えずに、ぼぉーっと歩く。 マンションに着いた。 築1年の新しいマンションだ。 高校になると同時に、引っ越してきた。 エレベーターに乗り、10を押した。 猫神(ねこみ)と書いている表札のドアを開ける。 ソファに座ってテレビでも見るか。 バラエティ番組を観る。 「にゃー。」 うちの猫の鳴き声ではない。 ベランダの外だ。 かなり驚いた。 両親は昨日から旅行だし、姉と妹も友達と旅行中だし、サプライズなわけが無い。 どうやって「10階」まで来たのか。 とりあえず入れることにした。 中型の綺麗な猫だ。 美しい瞳だ。 すると猫が飛びついてき、手に噛み付いた。 痛い。 猫はすぐに、ベランダに飛び出し、下の階に飛び移り繰り返し、着陸し、どこかへ行ってしまった。 「なんなんだ?」 この時、頭の中には疑問しかなかった。 噛まれた所は痛かったが、見てみると、噛み跡は残っていなかった。 「何故だろう?」と少し考えてみたが、分からないので、風呂に入ることにした。 風呂から出て、寝室へと向かう。 ベッドで寝ながらゲームをしていた。 寝落ちをしてしまった。 数時間後 目が覚めた。 ん? 違和感が。 僕の耳に、音という音が入ってこない。 聴覚を無くしたのだ。 パニックになって耳を触ろうと...。 ...無い! 急いで洗面所へ向かう。 鏡に映る僕...。 確かにない。 頑張って落ち着こうと。 落ち着いた。 物語はまだ始まっていない。 これからだ。
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