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「てめぇ一人で収めきれなかったその劣情でてっちゃんを虐げたせいで、子を成し家を繁栄させ、その名を後世へ繋ぐ役目を失わせたんだぞ!」
「父さんっ」
「…」
「お前のせいで…っ、笠井の血が途絶える事の重大性に、気づいてなかったとは…言わせねぇぞッ!」
(…やっぱり)
学が何故、どうして頑なに宏信の性癖を拒むのかを目の当たりにした徹弘が内心でそう呟いていると、繰り返し学の想いをぶつけられ続けてきた宏信は固く目蓋を閉じ、唇を引き結んだ。
「お前のせいで、てっちゃんが不能になって」
「や、別に、ハメられてるからって勃たねぇワケじゃねぇし」
「女が抱けねぇんじゃ、同じだろうが!」
「いやぁ、ノブが浮気したら速攻、カノジョ作る気満々ですけど?」
「…」
(…テツくん)
ああ言えば、こう言う。
そんな減らず口を、こめかみに青筋を浮かばせ鬼の形相をしている父親を目の当たりにしても動じず言い返し続ける、肝の座った徹弘の態度に、宏志は内心で落涙する。
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