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ひとり、手負いのヴァンパイアが血まみれで、ある神社の敷地に迷いこんだ。
ーー7月に入って、休みに入ってすぐこれだ。
あのクソ兄貴の殺意は本物だ。
ヴァンパイア、村上忠は意識を飛ばした。
+++
神社の跡取り娘、小川日和は夕方の散歩に出ていた。
そんな時鉄錆び臭い匂いを感じ正体を探した。
神社の敷地外れにうずくまるように動かない血だらけの男の子。
日和は慌てて、
「た、助けないと…」
ーー日和には不思議な力が有った。人の怪我を治してしまうような不思議な力が。
しかし日和が何時ものように怪我に触れて治そうとしたらすごい力で弾かれてしまう。
その衝撃で少年も目を覚まし、現状に気付くと青くなって狼狽えた。
ーー嘘だろ、この力…神聖系だ!ヤバい。人間にしか見えないのに何者なんだ?
沈黙が降りて先に動き出したのは日和だった。
日和はスマホを操作して友人につなぎ事情を説明した。
「珠里ちゃん?あのね、ウチに怪我した男の子がいるんだけど、私の力じゃ治せなかったのどうしてだと思う?」
スマホの向うからスピーカーになっていないのに怒鳴り声が聞こえる。
「…分かった、待ってる」
通話を終えた、日和は忠の前に座り込み。
「もうすぐ、キミの怪我治してあげるよ。」と微笑んだ。
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