第一章 穴

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「イッシュン?」 「あぁ、一瞬だ。和希は、もう時計は読めるか?」 僕は頼りなく首を横にふる。 そうか、と言い、彼は半袖の服の袖を伸ばし、額の汗を拭う。 「イクタ……イカタイル………イタ」 「息絶える、死んじゃうってことだ。」 「あの……大きな、いきものが?」 「そうだ。」 彼はきっぱりと言った。僕は混乱している。その混乱は、目の前の父の真剣な顔と、シュッとした頬に伝ってゆっくりと流れる汗を見ているうちに、不安へと変わっていく。 ココ、ヘビ、ドク、ゾウ、……シヌ――。 それが恐怖へと変わったときだった。 「そして、イッシュンっていうのは――」
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