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「イッシュン?」
「あぁ、一瞬だ。和希は、もう時計は読めるか?」
僕は頼りなく首を横にふる。
そうか、と言い、彼は半袖の服の袖を伸ばし、額の汗を拭う。
「イクタ……イカタイル………イタ」
「息絶える、死んじゃうってことだ。」
「あの……大きな、いきものが?」
「そうだ。」
彼はきっぱりと言った。僕は混乱している。その混乱は、目の前の父の真剣な顔と、シュッとした頬に伝ってゆっくりと流れる汗を見ているうちに、不安へと変わっていく。
ココ、ヘビ、ドク、ゾウ、……シヌ――。
それが恐怖へと変わったときだった。
「そして、イッシュンっていうのは――」
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