おかえりなさい

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 出発の前日、両親と夕食を食べる。  今日で最後かと思うと泣きそうになる。寂しさをごまかすために私はムメタの話をした。  ねぇ、二人ともムメタって覚えてる?  そうそう、昔いつも一緒に居たムメタ、掃除してたら見つけてさ。私懐かしくなって向こうのアパートに送ったんだぁ。  ムメタって、ああ。懐かしいわね。  おばあちゃんと一緒に買ったのよね。  あのムメタちゃん?  そだよ。あのムメタ。  お父さんは首を傾げた。  変だな。あのムメタって、お前、いらないって捨てたよな。  捨ててないよ。だってムメタは大切に箱の中に……    捨てた。  そう、おばあちゃんが居なくなったあの日、私はムメタが喋るのを見てしまったのだ。怖くなり、それから、おばあちゃんが寝むる棺に、沢山の花と一緒に捨てた筈だ。  捨てた、いや、燃やしたはずだ。  
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