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意識せずに昔の怪談話が出るあたりノスタルジーか、成程なと、ワクワクしてくる。トイレ事情まで知っている化粧坂海彦はよほど頻繁に来たのだろう。昔の住所や教師の住所と幹事は大変だったのだろう。
いつも行動せずに乗っかるだけの自分とは違うのだろう。
六年二組の教室のドアを開くと一人の女性が窓の外を眺めていた。
「寒かったね。ずっとここから門を見ていたけど、何してたのさ。寒くないのね。流石は悪魔くんね」
悪魔くん
「あれ、僕って苛められていたのか。悪魔くんって」
「え、昔喜んでたじゃない。悪魔の方がカッコいいとか、天使くんじゃなくて良かったとか、あれ海彦も呼んでたよね」
二人見つ、さぁねと海彦はかわす。
「覚えている」
「イの上だからアね。確かに昔は喜んでいたのかも知れないけど、辞めてくれ恥ずかしい。なんだその痛いあだ名はカッコいいって言っていたのか僕は」
化粧坂海彦は笑いながら誰かの机に座った。
「気にするな悪魔くん。子供のころのあだ名なんてそんなもんだろう。ブタゴリラじゃなくて良かったな。それで、持ってきてくれたかい」
朱未は頷く。
「ちょっと待って、このまま話進むのか。朱未さんはクラスメイトだよね」
「うわぁ、そう言えば、こういう奴だったね。同じクラスだったじゃない朱未ちゃんだよ。この頃はクラスで一番モテていたと思うよ。ほら、見て」
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