消えた悪魔と同窓会

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 結局ボールは見つからないもので、数日後に、忘れた頃に急に出てくることや中学生が拾い玩具にされて戻ってこない事の方が多い。そもそも探しているボールも誰のかは分からないのだいつの間にか見つけて、いつの間にか使っていて、買ったばかりのボールも同じように無くなっていて、ボールの取り換えっこでもしている様なモノだと僕は思っていた。  先に帰ってしまった二人もそうなのだろう。  だから真面目に探そうとはしない。 「結構気に入ってたんだけどな」 海彦はつまらなそうに言った。 「なんで。いつも通りのボールじゃん」 「いや、あれA球だぞ」  それは何だいと聞くのは少し恥ずかしい。知っていて当たり前だろう位の言い方をしていた。ランクAみたいな高級品だろうかと見当違いな事を考えている。 「まぁそんな事はどうでもいいんだ。ボールも無くなったしさ、琢磨今から学校行く気あるかい」  ニヤリと笑う。  悪い考えを思いついたのだろう。こういう時は大体怒られるのだ。前回二宮金次郎に悪戯をしようと行った時は僕だけが捕まり、泣くほど怒られた。  化粧坂海彦曰く捕まるのが悪い。  僕は囮に使われたのだろうか、それにしてものぶ子先生は僕の事を怒り過ぎである。大体わかるだろう、どちらが主犯か。 「いいぜ。何をするんだい」  懲りない男だなとつくづく思う。  怒られ泣かされたところで、楽しいワクワクの方が大きい事を僕は知っている。怒られるのは嫌だが、怒らせるほどの何かをするのは何というか面白い。それに、捕まらなければいいのだ。     
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