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「ああ、まぁどうでもいいじゃないか。おかげで直ぐに入る事が出来る。門をよじ登らなくてもいいんだから、低学年どころか赤ちゃんでも入れるぞ。スポ少の車は出る時には鍵を開けないからなぁ。練習前に開けた時に入れ替えただけだよ」
だけだよと。鍵のトリックを平然と語る。
トリックと言うより確かに取り換えただけではあるが、現実そんな事をする奴はそんなに多くは居ない。
用務員室のドアを開けて、僕たちは校舎に侵入することに成功した。
普段使わない用務員室のドアも予め開けておいたのだろう。閉められたとしても他のドアも開けてあったのでは無いだろうか。そう言えば今日の昼休み化粧坂海彦は僕達と遊ばず保健室で寝ると言っていた。
「まずは音楽室に向かう」
「音楽室と言うと音楽家の目が動く有名な怪談だね」
「そうさ。有名だけど、その噂はこの学校には無いな。音楽準備室にでる天使の正体を見に行こうと思ってさ」
音楽準備室に天使。
「聞いたことないよ」
「むしろ悪魔くんにはどんな噂が聞こえているんだ」
「トイレの花子さん」
「うん。何だろう有名どころだけど、この学校ではトイレにはオジサンの幽霊が出るって噂だけど」
トイレの五郎さん。
「知らない。誰だよ。五郎さん」
「さぁ、変態だろうな。なんせ五郎さんが現れるのは旧校舎の二階の女子トイレなんだから」
「旧校舎ってあったかこの学校」
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