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スタートからカッコ悪い。いや半袖で入り口付近に立たせてしまいポンタの女性に申し訳が無い。
「六年二組様ですね。こちらです」
「あ、でも六年の時のメンバーか分からないんです」
「六年生の同窓会だけですから、それでも違っていましたら五組全部一緒に回りましょうね」
ポンタの女性はニコリとほほ笑みノブコの間と書かれた部屋を案内した。
既にアルコールの匂いと揚げ物独特の香りが充満した部屋は座敷になっていて、十数人の視線は一斉に集まる。
扉を開く前、廊下まで響いていたざわめきが一瞬止み、何も無かった様にざわめきがノブコの間に戻る。
クラスの有名人であれば、遅れてきた人物の登場で盛り上がるだろう。
一緒に入った男はお待たせぇと入り口付近の見覚えのある顔と楽しそうに笑っている。
期待をしていた訳では無かったが、どうもと頭を下げて、空いている席を探す。やはり来るべきでは無かったかと雪により更に黒くなったコートを脱いだ。
「やっと来たか」
「海彦か。なんだか随分デカくなったな。僕と結んだチビ同盟はどこに言ったんだよ。なんだよ髭なんか生やして、気が付かない所だったぜ」
化粧坂はホレと猪口を進める。
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